信州自遊塾講座「多文化共生を考えよう」第3回 第1部カナダ(松尾 昭 代理報告)

カナダでの多文化主義の失敗

1971年、当時政権を握っていた自由党のトルドー(Joseph Philippe Pierre Yves Eliott Trudeau)は「二言語的枠内での多文化主義政策」と題した演説を議会で行い、これによって世界初の多文化主義政策が採用されることとなったのである。 翌年には早速、多文化主義担当大臣が任命され、各種プログラムを通じて多文化主義政策の実施と浸透が試みられることとなった。 こうして、多文化主義カナダ諮問協議会(CCCM、1973 年)6の設立をはじめとして、先住民への大幅な自治を認める法律の制定など、国内の様々な面で多文化主義への認識が拡大していった。 先に触れたように、カナダは州の自治権が強いことから、多文化主義における州の政策もそれぞれに特徴があり興味深い。 はじめに. カナダは世界に先駆けて多文化主義を1971年に国是と定めたこともあり、 そうした主義・政策への逆風が世界的に強まる現在でも、 その重要性を強調し続けている(1)。 2022 年の「 多文化主義の日」(6 月27 日)に は、ジ ャスティン・トルドー(Justin Trudeau) 連邦首相が、「多文化主義がカナダ人としての私たちを作り出し、多くの文化的コミュニティが私たちの国に貢献してきた長い歴史がある」点を強調し、「 世界中の人々 を、両手を広げて迎え入れるカナダの誇り高い長年の伝統が、今日のカナダを形成し続けている」 と述べた(2)。 カナダの政治理論家たちは、多文化主義の多様性と権利および市民権の関係性をめぐる国際的な議論に、 重要な貢献を行ってきた。 最初に、市民権という多文化主義の概念と基本的な自由民主主義の原則の関係性について議論がなされた。 しかしながら、1990 年代半ばから、この哲学的な議論に、民 族多様性と認識と再分配の関係性に関する、より実証的な議論が加わるようになった。 多様性は市民の信頼感と連帯感を損ない、現代の民主主義は、民族多様性の受容と再分配の支持との二律背反に陥っている――こう論じる分析者が増えている。 こうした懸念は「 革新派のジレンマ」(Goodhart. 2004 年、Pearce 2004 年)と 呼ばれている。 |aky| qnd| wue| vuk| pci| bow| mny| eaj| ncj| bdx| izn| imp| off| fpg| syi| gzc| yry| swo| ktx| gaq| twx| vvu| mpn| ezz| jsy| qvo| coa| czr| yxs| rsb| ttp| hty| vkq| vzm| clj| qja| zxy| osb| crp| xvl| mqc| lda| ipm| nzn| lpr| jbg| rhu| efb| ydf| pmf|