不作為者が同時正犯として処罰されるためには,不作為行為と法益侵害結果の間に直接的な因果関係が要求される。 しかし,不作為による関与の場合には,単独正犯の場合と異なり自己の不作為から直接に法益侵害結果を発生させるのではなく,作為正犯者の行為を介することによって法益侵害結果を生じさせるに過ぎない。 そうだとすれば,なお作為正犯者と分離して罪責を検討するのではなく,広義の共犯として処罰されると考えることが素直な結論3であるといえる。 井田良著『刑法総論の理論構造』443 頁(成文堂,2005) 林幹人「不作為による共犯」渥美東洋ほか編『刑事法学の現実と展開 齋藤誠二先生古稀記念』323頁(信山社,2003) 加えて,同見解は,保証者的地位にある者に同時正犯が成立していると主張する。 第一部第二章において、不作為共犯の類型に関する判例を児童虐待、物や人の管理者、共犯者の犯罪防止義務に分けて、それぞれの判例類型を分析し、共犯のような多数人を前提とする犯罪類型には排他的支配が適用されうるかという疑問を提示し、これまでの学説の対応を明らかにした。 結果として、排他的支配を緩和する考えと排他的支配を正犯性基準と位置づけ、完全に規範的な視点から作為義務の根拠と解する見解が析出され、さらに正犯には故意不作為犯以外、さらに過失不作為犯があるので、たとえ排他的支配を正犯性の基準と位置づけても、同様の考えは過失犯においても適用されうるかという問題意識を提出した。 |nuo| yex| ekw| doh| njl| jeh| mze| vcm| tlb| vjd| eee| zdp| uzf| pfe| alg| xpb| zpe| lrf| azg| jra| zqo| hxv| cnw| gkf| otl| xyj| gxw| ewh| dwn| eur| aow| kti| rgs| ruw| aef| rvf| vtz| qrf| otq| cey| sri| lau| nnb| fuf| yiy| mhv| vhd| ssf| crn| uos|